どんでん返し2題@歌舞伎座
今日は暑かったですねえ。マジで東京は沖縄より熱帯化していないか?
その暑さの中再び歌舞伎座に行ってまいりました。
で、夜の部の演目が面白かった。
「盟三五大切」という鶴屋南北の書いた作品と、踊りの「教草吉原雀」の2つの結末が、大どんでん返しなのですよ。
「盟三五大切」のものすごくラフなあらすじを申しますと、
船頭の三五郎とその妻の芸者の小万が、小万に入れあげている浪人の源五兵衛をだまし、百両を手に入れる。逆上した源五兵衛は小万をはじめ、何人もの人間を惨殺する。しかし、その百両は三五郎の父親が旧主・塩冶浪士の不破数右衛門のために必要としていた金であり、その旧主とは実は源五兵衛だった。三五郎は自分の前非を報いて自害する。そして源五兵衛は再び数右衛門に戻り、討ち入りに向かうのだった。
現代的に話すと、源五兵衛は大量殺人し、さらにストーカー殺人までしてしまうとんでもない人物なのだが、最後は塩冶浪士(赤穂浪士を、歌舞伎の中ではこう置き換えることが多い)に戻って討ち入りに出かけてしまうのである。おまけに大量殺人事件の原因も、源五兵衛が百両を必要としたことから起こるわけです。
この2つが一気に結末に分かるところが、大いなる肩透かし。塩冶浪士が討ち入りの格好をして源五兵衛を迎えに来ると、急に雪が降り出すところがさらにすごい。この飛躍振りがたまりません。南北先生やってくれます。(結構、鶴屋南北好き)
それから、小万を殺す場面の源五兵衛の衣装が黒地に裏が闇赤色。これがこの場面の凄惨さを一層引き立てていました。
「教草吉原雀」のほうは、
吉原の放生会に鳥売りの夫婦が来て、廓の様子などを踊る。その後鳥刺しの男が現れると、夫婦は鳥の精であるという正体をみせる。
こちらもすごい結末です。鳥売りの夫婦が実が鳥の精!(あなた方、仲間売ってたのね。。。とひとりでつっこんでみる)よく上演される清元の「吉原雀」は、夫婦は最後まで鳥売りですが、今回の長唄バージョンはこういう驚きの結末が待っていたのでした。吉原の風俗描写から、鳥刺しと鳥の精の立ち回りへ世界が一気に転換してしまうのが面白かったです。
これまた余談で、この長唄の「吉原雀」のフレーズって、よく廓の場面で下座音楽に使われているんです。なので、初めて観る踊りではあったけれど、なんだか親しみを感じました。
歌舞伎の作品は、芝居も踊りもこういうとんでもない飛躍があることが多いんですが、私はそこが歌舞伎の好きな点の一つです。この飛躍で世界観を一気にひっくり返されるというのも結構快感なものです。皆さんもこの経験、歌舞伎でしてみませんか?
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