「女番長ブルース 牝蜂の逆襲」
今日もさっぱりした五月晴れ。日差しも強いですねえ。
午前中、渋谷のシネマヴェーラの「最終兵器・鈴木則文!」のプログラムのひとつ、「女番長ブルース 牝蜂の逆襲」(1971・東映京都)を観にいってきました。ごひいきの天知茂さんが出てるからなんですけどね。
あらすじはコチラ。(キネマ旬報データベース)
神戸あたりでブイブイ言わせてる、レイコ(池玲子)を中心とした女番長グループ、アテネ団のことを描いた当時の東映お得意のピンキー・バイオレンス映画なのですが、ピンキー・バイオレンスに加えて仁侠映画であり、歌謡曲映画であり、オートバイとカー・アクション映画でもある多面的な娯楽映画なのでありました。それどころか、沖縄の復帰ネタまでこの映画は取り上げているのであります。バモス・娯楽映画の名職人鈴木監督!
天知さんは任侠部門担当。関西で「人斬りマサ」といわれた、ムショ帰りの秋本組所属・土居政也役です。彼には梨絵(弓恵子)という彼女がいましたが、ムショに入っている間にパトロン(小松方正)をつくり、店を開きます。さらに梨絵には娘がいますが、梨絵に彼の子ではないといわれ土居はショックを受けます。しかし、実は娘は土居の子だと梨絵に言われたのと、もともと所属していた秋本組と反りの合わなくなっていたのとで土居はカタギに戻ろうとします。しかし秋本組に裏切られ、土居は殺されてしまいます。
梨絵の娘と遊園地で黒いグラサンかけた土井が遊んでやるシーンがあるのですが、けっこう楽しそうで実は子ども好きなのか>天知さん、などと突っ込んでしまいましたハハハ。
あと、シガレットホルダー加えて登場するところがなんとも言えずかっこいいなあ。このまま台詞しゃべったりするし。彼を慕う北神会のジロー(流健二郎)との男のつながりもこれまたかっこいい。
ヒロインの池玲子は、恐らく当時は17歳ぐらいなのだけど、声のトーンも落ち着いていて貫禄ありあり。
レイコに対抗するカツアゲのジュン(賀川雪絵)は沖縄出身という設定で、鈴木監督はこの映画の取材をしていて沖縄出身の子に出会い、そのときに聞いた話が印象的だったのでそういう設定の登場人物を出したらしい。ちょうどこの映画が封切られた頃に沖縄の復帰が決定したのですが、そんなエピソードも映画の中に出てきます。
このほか、アテネ団には杉本美樹や渡辺やよい、任侠部門に安部徹、コミック部門で由利徹、大泉滉に山城新伍、歌謡曲部門にピーターと西来路ひろみ、カメオ出演部門に渡瀬恒彦、となにげに豪華なキャスティングです。その中でも、由利さんのエロオヤジ、山城さんの怪しげなトップ屋は最高でした。
それと、この映画のオープニングが好きです。東映マークのあと、まず打楽器の音とともに足元からタバコをふかすレイコを映し、そのあとけだるい「女番長ブルース」をBGMに、ネオンやアテネ団の暴れる様子、それと対照的に健全な青少年を映しながら出演者やスタッフを画面いっぱいの文字で紹介していく、ってやつです。
冒頭シーンがこの前行った神戸の三宮だったのもうれしかったなあ。
※ところでこの映画、中島貞夫監督の「893愚連隊」の女版という気がします。ヤクザを相手に大勝負を挑んだりするところとか、ラストシーンとかなんか似ているんだよなあ。
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11時からの回に行きました。
作品のテンコ盛りというか、ごった煮状態にかなり驚きました。
私も観ていて「これ『893愚連隊』じゃないの」と思いました。
男の哀愁漂わす天知さんは、スケバン映画への添え物エピソード的な扱いではなく、メインで見たいなと。
白いジャケットを着た天知さん、
決まってましたね。
投稿: リネン | 2007/05/05 22:59
>リネンさん
コメントとトラバありがとうございます。私も11時の回に行ってました。またもやニアミス!
ちょうど私も今、リネンさんのブログに「ごった煮状態ですな」と書いてきたところでした。やっぱり「893愚連隊」に似てますよねえ。
天知さん、男の哀愁漂ってました。あの白スーツにサングラスはなんともスタイリッシュです。土居さんと梨絵さんのエピソードだけ異空間でした。しかし、この頃の東映映画での天知さんの役の死亡率はえらく高いです(><)。
投稿: なべら | 2007/05/05 23:15
私も天知茂が登場して即、
死ぬのだろうなと予測しました。
私にとっての天知茂は新東宝の石井輝男作品と
子供の時テレビで見た土曜ワイド劇場(再放送だったかも)ぐらいで、その間の時期の作品をほとんど見てないので、大映、東映時代の作品も見てみたいなと思いました。
投稿: リネン | 2007/05/05 23:25
>リネンさん
コメントありがとうございます。私も天知さんの第一歩は子どものころの土曜ワイド劇場でした。
大映なら「座頭市物語」、「眠狂四郎無頼剣」、田宮二郎との犬シリーズ、東映では「男の勝負」(これは死なないのと、珍しく二枚目半)などが好きですね。
1960-80年代はテレビドラマのお仕事も多いんですよね>天知さん。こちらでも見てみたいのがありますが、映像はあまり残っていないのではないかと。あ、ドラマ版「孤独の賭け」は、第1話だけ横浜の放送ライブラリーにあります。
投稿: なべら | 2007/05/06 11:07