「牡丹燈籠 鬼火の巻、蛍火の巻」
渋谷のシネマヴェーラに「牡丹燈籠 鬼火の巻、蛍火の巻」(1970・テレビ東京)を観にいってきました。中川信夫監督の作品なので観にいった次第です。
三遊亭圓朝の原作を「日本怪談劇場」というテレビ映画シリーズで映像化した作品です。お露と新三郎の悲恋を軸として、彼らをめぐる人々の色と欲が絡まる物語。テレビでは2回に分けて放送した模様。そういえば、以前、歌舞伎座で歌舞伎バージョンを観た事があります。
前半三分の一はお露(金井由美)と新三郎(田村亮)の悲恋がメイン。亮さん、若い・・・。しかし、青年の一途さが出ていたなあ。
残りの三分の二は新三郎の隣人、伴蔵(戸浦六宏)とお峯(阿部寿美子)、お露の義母お国(長谷川待子)と愛人の宮野辺源次郎の2組の悪いやつらのことが描かれます。
お国と源次郎はお露の父を殺して逐電し、伴蔵とお峯はお露の霊の頼みを聞き入れて百両を手に入れ、新三郎を殺して江戸を離れます。そして彼らは偶然にも潮来に住むようになるのですが、ここで思いもかけない展開が。。。このあたりの展開は、すごくうまくできてまして、ドラマでも丁寧に描かれていました。
キャストでは、何といっても戸浦六宏が素晴らしい。金に目がくらんでちょっとした悪事を働いたつもりが、それを隠すためにどんどん悪事を重ねていく。それでもず太く生きていく男を鮮やかに演じています。源次郎に脅されてタンカを切る場面が小気味いい。生世話狂言の悪人の味がします。
女優陣では長谷川待子ですね。悪女の色気がにじみ出てて、伴蔵との色模様はなかなかのもの。
それから特筆すべきはセット。伴蔵と新三郎と辻占いのユウサイ(大友純)の家が三軒長屋になっているのだけれど、それが相当なボロ屋で、さらにその前にはえらく淀んだ沼があり、カラスが死んだ猫の肉をつついているという不快指数の高そうな雰囲気。この3軒の家の動きをときにワンカットで見せるのが面白い。
BGMに流れる物売りの声、真っ赤な背景、何度も登場するゴゼの母子など、他の中川作品に通じるモチーフも登場します。「東海道四谷怪談」「地獄」に出ていた大友純が登場するのもなんともうれしい。
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