「紅閨夢」
今日は三軒茶屋中央劇場に映画を観に行ってきました。去年シアター・イメージフォーラムでやっていた「美の改革者 武智鉄二全集」を再映していて、そのとき観損ねた「紅閨夢」(1964・松竹)も掛かっていたので足を運んだ次第。
この映画館、外壁のカッパさんの装飾や「各社封切」という看板がノスタルジックです。
タイムテーブルは手書き。味わいがあります。ちなみにスクリーンに掛かる幕には近所の店の広告が載ってます。そのへんで、なんだか昭和中期に映画を観ている気持ちになれます。
映画のほうですが、作家の民野(茂山千之丞)と妻(川口秀子)、妹(川口秀延)がヌードショー「晶子抄」や映画「浴槽の魔女」を観に行ったり食事をしたりして、宿に帰った後眠ったらそのショーや映画に出てくる女優(柳美那、葵千代)が出てくる不思議な夢を見ます。何で「紅閨夢」なんだよー?と思ってたのですが、その夢のことなんですねえ。
しかし、民野さんはよく食べる。ヌードショー観た後に中華第一楼で妻と妹と三人で中華料理をたくさん食べ、映画を観た後に三色アイスをふた皿食べ、夕方は辻留で鱧料理などをたらふく食べる。三色アイスの一皿目を食べるのは、ワンカットです(^^;。食べるの大変だ!・・・まあそのおかげで眠りに付いた後に食べすぎでうんうん苦しむのですが(笑)。
「晶子抄」や「浴槽の魔女」、二人の見た夢などはひとつひとつの作品としても観ることができるのですが、どれもアバンギャルドでした。「浴槽の魔女」で、主人公の画家が妻に絵の具をぶっ掛けてキャンバスを這いずり回らせて作品を描いたり、妻と妹が観にいく「道成寺」では武智名物・ヌード能(はい、文字通り裸体の女性が能を舞います)をからめるわ、土方巽が脇僧で暗黒舞踏やってるわ、という調子です。
けっこう女性のヌードが出てくるんですが、1964年当時の性表現としてはかなり挑戦的なんじゃないかと。
二人の見る夢は、どれも「浮気した旦那さんの相手の女性を妻がやっつける」内容のお話で、これは民野と妻の関係を暗示しているのかなあ、と思いました。ラストシーンは妻が民野に抱きつくカットで終わるんですけどね。
映画の撮影は銀座近辺で行っていたようで、今はなき松竹セントラルで撮影していたのがうれしかったなあ。
余談ですが、「晶子抄」で晶子をやっていた葵千代が、同じ武智作品の「華魁」でヒロインやってた親王塚貴子に似ていたような。武智センセイ好みの顔立ちなのか?
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