ハテ恐ろしき執念じゃなあ-「東海道四谷怪談」
昨日、新橋演舞場に「東海道四谷怪談」観にいってきました。
最近の歌舞伎の四谷怪談は変に笑いを狙っていてちょっとI hate・・・な状態だったのですが、吉右衛門の伊右衛門、福助のお岩と言うキャストに興味があったのと、中川信夫監督の映画「東海道四谷怪談」に最近はまっているので観にいくことにしました。
結論としては、今まで見た四谷怪談の中ではいちばん面白かったです。
お岩様の髪すきの場面で、生身の人間が幽霊になっていくしみじみとした恐怖がとにかく目を離せないのであります。女性が髪すきをするのは身だしなみを整えるはずなのに、逆に醜くなっていくという。。。さらにそのときの下座音楽の歌詞が艶めいているのがその逆転を引き立ててくれます。(髪すきのときに3階席に幽霊を出す演出が前あったんだけど、これはちょっと論外だよな)
あと、お岩様の産後の肥立ちの悪い状況がすごく気の毒に感じられるんですね。それなので具合の悪い彼女が伊東家に感謝しつつ毒薬を口にする場面が物悲しい。
普段の福助には感心しないのだけど、今回はこの2点がいいと思いました。彼もやればできる。
それと、恐怖の盛り上げ役兼サポート役の宅悦を演じた歌六の程のいい演技が良かった。まあ、ちょっと善人度数が高かったかもしれませんが。
そのような訳で、今までは長く感じられた浪宅の場面が今回はぜんぜん長く感じられなかったです。これが面白く感じた理由。
吉右衛門の色悪というより実悪の感触。隠亡堀の「首が飛んでも動いて見せるわ」のセリフが実に映えますな。(ホントはこのセリフはあとから加えられたものなんですが。
しかし、この作品でいちばん兇悪なのはお梅の恋心なんだなあ。これが登場人物のすべてを狂わせてるわけで。伊右衛門も悪い奴なんだけど、彼がお岩様にホントに愛想を尽かすのは顔が醜くなってからのような。。。
芝雀がお袖をやっていましたが、せっかくだからお袖の最後を描いた三角屋敷の場面も観たかったかも。
こうして南北の四谷怪談を観てみると、中川監督の作品は伊右衛門や直助の描き方、櫛や蚊帳などの小道具の使い方などうまく料理しているなあと思います。
歌舞伎好きの方、中川監督の四谷怪談も観てみると面白いですよ。
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