「紅葉狩」
京橋のフィルムセンターで、映画の「紅葉狩」を観賞。
1899年に、九代目團十郎の鬼女、五代目菊五郎の維茂、のちの六代目菊五郎の山神というキャストで撮影された作品。
明治時代の團菊を拝める貴重な作品であり、さらにこのたびフィルムが重文指定されたという歌舞伎史的にも映画史的にも貴重な映像です。
『紅葉狩』フィルムが重要文化財指定へ(歌舞伎美人)
今回は、日活所蔵だったものと、松竹会長の大谷氏所蔵だったもの、さらに現在デジタル加工されているものの参考映像の3本が上映されました。
日活版は、最初にタイトルとキャスト、作品の紹介が入る。フィルムセンターのパンフで、山神のことを「風の神」と書いてあったんだけど、この日活版でのキャストの表記が「風の神」になっていたのでありました。。。
日活版では更科姫の二枚扇の踊り、山神が維茂を起こすところ、鬼女と維茂の立ち回り、鬼女の毛振りが収録されていて、大谷版は鬼女の毛振りが入っていません。
まず驚いたのが、更科姫をやっているときの九代目のたおやかさ。写真で見る限りはごついおじさまで、女形の踊りを踊るイメージがなかなか浮かばなかったのですが、実際に観てみると全くそんなことがない!たおやかさの中ににじみ出る色気も感じられ、実際の舞台はさらに素晴らしいものだったに違いないと思いました。
五代目菊五郎は、収録された場面はそれほど維茂の見せ場でないところばかりだったのでいまひとつ印象が薄い。
当時丑之助だった六代目菊五郎は当時13歳ぐらいなのですが、しっかりとした踊りです。山神の場面を収録したのは、それだけ見込まれていたということでしょうか。
九代目が二枚扇の振りのところで扇子を落としたのだけど、それを淡々と拾い上げて渡すのが後見の市川新十郎。「演劇界」増刊の「三代の名優」によると、故実や型に通じ、成田屋の大番頭と呼ばれた方だそうです。
短い時間ではあったけれど、名優たちの演技を堪能することができました。
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