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2009/07/20

「まかん道の逆立ち幽霊」

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暑いので納涼ネタをば。沖縄芝居の怪談物のお話。
「まかん道の逆立ち幽霊」@国立劇場おきなわ
はい、大蔵映画の「支那怪談死棺破り/沖縄怪談逆立ち幽霊」の元ネタです。あちらは現代劇ですが、沖縄芝居では時代物になります。
「まかん道」というのは那覇市の真嘉比あたりのようで、10年ほど前に知人に那覇を案内してもらっていて、「このへんが逆立ち幽霊の出たまかん道ですよ」と教えてもらったのですが、その当時でも結構昼でもミステリアスな雰囲気が漂っていました。今は再開発されているでしょうか。

閑話休題。あらすじはこんな感じ。
氏族の真三良(マサンルー・東江裕吉)には真鶴(マジル・知花小百合)という美しい妻がいる。真三良は病に倒れ、真鶴が自分の死んだら別の男に嫁ぐのではないかと嘆く。それを聞いた真鶴は自分の鼻をそぎ落とし、別の男とは結婚しない決意を示す。
真三良は回復するが、遊女のマカテー(伊良波さゆき)を愛人にして醜くなった真鶴を邪険に扱い、ついには共謀して毒殺する。
やがて真鶴の十六日祭が訪れるが、墓前に集まった人たちが食事をしようとすると食べ物が腐り、あたりは暗くなって真鶴の亡霊が出現する。真三良とマカテーは真鶴の棺をあけ、化けて出ないように足に五寸釘を打ち付ける。
すると真鶴の幽霊は今度は逆立ちしてまかん道に現われるようになるが、幽霊が出ることを聞きつけた池城里之子が真鶴の幽霊の訴えを聞き、助けることにする。真三良の家には護符が貼られていたが、池城がそれをはがし、真鶴は真三良やマカテーを取り殺して恨みを晴らす。そして池城の家の繁栄を約束し、池城も真鶴の墓を作る約束をするのだった。

唄でセリフをつなげながら物語がすすめられていく構成だったので、話はテンポよく進んでいきます。セリフはウチナーグチですが、その響きの美しさにはぐっと来る!
「食べ物が腐って幽霊が出る」とか、「墓をあばいて足に五寸釘を打ちつける」とか、ホラーな場面があるのだけど、その辺は本土との怪談とは違った怖さがありますな。
その怖い場面の合間に十六日祭に向かう親戚のおじさん(津波盛廣)や、池城の従者(前川ゲンちゃん!)のコミカルな演技がはさまれて緊張感をやわらげてくれるのがよいです。

琉球舞踊界の若手イケメンホープの東江青年は悪役が初めてだったそうですが、ちょっと軽い声の質が今回は夫の軽薄さを出していてなかなかでした。妻の容貌を醜くする原因を作るは、足蹴にするは、毒殺するはと真三良はDV夫だ!
知花さんはけなげさが出ていて、彼女の境遇の哀れさが伝わってくる感じ。高音部がかすれてしまっていたのが少々残念でした。
伊良波さんは、もう少し年上になって大人の女の色気が加わればよいかと。まだシャープさが先立ってしまう。

その昔の沖映演劇でも人気演目だったようで、3回ほど上演されているらしいのですが、そのときに妻の役を演じた瀬名波孝子が真三良の母親役で出演していたのがうれしかった。

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コメント

沖縄芝居って、こうゆうネタもあったのですね~~(°°;)))オロオロ(((;°°)~ 知らんかった~
東江青年は「組踊」と思っておりました。
近かったら、観にいきたかったなぁ。

>エコさん
沖縄の怪談って、陰惨なのが案外多いかもしれないです。
国立劇場だったせいか、ちょっと洗練されちゃったかな、という感じはしましたねえ。

新型インフルエンザ騒動で気づいたら1週間どこかに吹っ飛んでいました!
ああごめんなさい。
なべらさんに会いたかったよう(号泣)。

>なび子さん
密入島の予定は今後もありますので、またご連絡します。あ、かにまちさんに偶然教師研修会でお会いしましたよ!

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